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プレイバックその2

前回に引き続き、どう処分したらいいのかわからないものに、
古い携帯電話がありまして(しかも壊れている)、
プレイバックその2_e0055073_11575933.jpg
でもゲオで引き取ってくれると聞いたので持って行ってみたら、
本当に買い取ってくれました♪
良かった良かった。

さて今回も、美瑛での修行時代の日記の一部ご紹介その2です。
その1を読んでいない方は、前の記事から読んでいただければ、と思います♪

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ここにきてそろそろ一年になろうとしている。
そんな中、この辺の地区「新星第3」の新年会があり、YASUは初めて参加した。
町内会の一員として認めてもらうために、ご近所(といっても広いんだけど)と仲良くなりたいと思っていた。そのうえコーミエー先生は今年度の会長になっているし、なんだか酒とご馳走が出るというウワサなので、もぉ張り切って出席なのである。
おしゃべりを楽しみ、たらふく食べて、飲んで、そのうえ残り物まで持ち帰り、家に帰って気づいたこと「うちって町内会費払ってないよね…」。

次の朝、会場となった会館の屋根の雪降ろしをすることになった。タダ食いの分まで働くぞーと意気揚揚で出かける。
サクサクとやっていると向こうはじから始めたはずの水沼お父さんがすぐそこまで来ているではないか。
彼の手つきを見てみると、ツンツンツンと3点を叩いてザラーッと押すと1メートル四方の雪の塊がダダーッと見事に落ちていく。真似してYASUもツンツンツンと3点を叩き、押してみるが雪はびくともしない。力任せに押してみたら上のほうだけすくってサラサラと落ちてしまった。なぜだ!?何度もやるがうまくいかない。無理矢理やるから一人で汗だくになっている。水沼お父さんは涼しい顔でツンツンザラーッとすごい速さで雪を降ろす。
周りを見渡すと、屋根の上の男衆はみなツンツンザラーッとやっている。あの3点のポイントが見えるようになるまでは、新星第3の男として認められないのかもしれない。
YASUは新しい野望を胸に、ツンツンザラーッの男になることを誓うのだった。

今年も炎創窯にこいのぼりが上がった。上げるのに半日かかってしまった。水沼お父さんがいなかったら一日かかっていたかもしれない。強力な助っ人だ。マルティネスより強力だ。
それにしてもこのこいのぼりはデカイ。ここはロケーションがいいのであまり感じないが、住宅街でこんなの上げたら近所付き合いにヒビが入るだろう。
十勝岳連峰を背に青空を泳ぐこいのぼり。厳しい冬を乗り越えてついに春がやってきた、という感じがしてワクワクする。

ろくろの練習も続いていた。
「マズ、チガウカタチノ、10コ、ツクッテミテ」湯のみらしきもの、皿らしきもの、など10種類を何とか作り上げる。
「ソノナカカラ、1コ、エランデ」ではこの炎創窯パクリっぽいのにしよう。
「ジャア、ソレトオナジノ、15フンデ、5コ、ツクッテ」

もう、陶芸教室に通っているのとは違うのだ。陶芸で、食べていけるようになる訓練をしているのだ。
最初、コーミエ先生が作っているのをそばで見ているとき、アマとプロの決定的な違いはスピードと正確さだ、と思った。とにかく速い。そして同じモノを作る。
生産性を考えれば、一つ一つに時間をかけていたらそれだけ値段を高くしなくてはならなくなる。好きなものをじっくりと作ることは楽しいし、もっと上手に作れるようになりたい、と思うが、まずはろくろを自在にあやつれるようになること、それが先決なのだ。

今年最初の窯焚きと同時進行で、コーミエ先生とYASUは新しい窯を作っていた。薪の窯である。
将来、自分の窯を手作りしたいと考えているYASUには、この窯作りはイイ経験になるだろうと、コーミエ先生もいろいろ考えてくれているのである。
とは言っても、作品を焼くためのものではない。ピザやパンを焼くためのものである。窯開きはピザパーティ。
ピザ作りといえば、やってみたいのが指先で生地をグルングルンと回して伸ばしていくあのワザ。いっちょやってみようかなぁ、できるかなぁなどと考えていたらなんと!横でコーミエ先生がグルングルンとやっている!我が師は何でもデキル。スゴイ人だ。
いつの日かこの製法で作られた大皿ができるかも?とくだらないことを考えつつ、ピザをほおばる。ウ、ウマイ。
将来、陶芸家としてうだつがあがらなかったらピザ屋になろう、と、信念の弱いYASUなのであった。

毎日のYASUの活力源であるタマゴを生み続けてくれたニワトリたちが、それもメスだけが、連れて行かれることになった。ドナドナ。
3歳を過ぎると、オンナ盛りを過ぎてしまうのか、タマゴの数が少なくなってしまうそうで、入れ替えするものらしい。うちのカミサンはその十倍だけどどうなんだろう?ま、それはいいとして、彼女たちは処理されてしまう。

毎日エサを与え、ふくらはぎをつつかれ、タマゴを頂戴する。そんな暮らしをしてきたYASUには、なんだかかわいそうに思えてしまう。
普段食べているスーパーのパック入りの肉たちも、同じように、もっと早い段階で処理されているのだから、同じことなのに、人間と言うのは勝手なものである。
ソーセージになって戻ってくるというウワサもある。ちょっと美味しそう、と思ってしまう。やっぱり勝手である。
新しく、ひよこ達がやってきた。まだ先生の家の中で飼われている。またタマゴがもらえるようになるのは秋頃だそうだ。
小屋の中では、何故一人ぼっちにされたんだ?という顔で、オスのニワトリが、いつまでも悲壮な声で鳴いていた。このあと若い娘がいっぱいきまっせ、ダンナ。

さて、先月やってきたひよこ達であるが、ある日、暖かくなってきたので昼間だけニワトリ小屋に放してみた。しばらくして行ってみると、何度数えても一羽足りない。脱走したのか?その辺を探してみるが見当たらない。
夜はまた屋内に戻し、次の日また同じことをした。そして様子を見に行くと、ひよこ達が一ヶ所に集まって震えている。
その先にいたのは、なんと、ネズミだった。ネズミと言っても、ジェリーのようなかわいらしいネズミではない。エゾアカドブネズミというらしいそいつは、とてもネズミとは思えないほど体が大きく、YASUが竹の棒で突っつくとその先に向かって牙をむいてシュルシュルと声を出して威嚇するのだ。
責任感の強いオンドリも必死でネズミに対向しているが、全く効いていないのである。急いでひよこ達を避難させるがまた2匹足りない。
デカイ図体とはうらはらに動きは敏捷で、小屋をどんなに強化させても地面を掘って中に入り込み、ネズミ捕りはスルリと飛び越え、猫を置いても猫のほうがひるんでしまう、という強敵である。
そんなわけでひよこ達はしばらくダンボール小屋での生活が続くことになった。

by yas-mid | 2018-01-24 11:58 | ひとりごと | Comments(0)
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