2017年 03月 28日 ( 1 )

蛍手の技術

本日をもちまして札幌での個展が終了いたしました!
ご来場いただいた皆さま、
ご来場いただけなくても成功を祈って下さっていた皆さま、
またSNSなどで告知して下さった方もたくさんいらっしゃるようで、
どうもありがとうございました!

かばちゃんに素敵な写真をいただいたので、使わせていただきますね~
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会場であるはやしさんは、週替わりで常時いろいろな個展が開催されていますので、
常連のお客様は目が肥えている方ばかりなのですが、
前回の個展から3年が開きまして、
ヤスさんの作品の進化にもお褒めの言葉を多数いただきました。
雪蛍や月蛍のような、キレイでカワイイ作品が多いので、
作り手とのギャップがかなり大きいようですが(笑)
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私のちゃぶ台も、11個がお嫁に行きました。ありがとうございます!
ひとつひとつに思い入れがあるので、
あの人この人のおうちに置いていただけると想像しただけで、ニヤニヤしてしまいます☆
ご来場いただいた方に、かわいい~♪と言ってもらえたのがなにより嬉しかったです。
脚が折りたためるのが欲しい、サイドテーブルのような高さのものが欲しい、実際にちゃぶ台として使えるもっと大きいサイズが欲しい、
など、皆さまからいただいた感想やご意見を参考に、今後も製作を続けて行きます♪
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さて、本日、オーストラリアから友人親子が到着いたしました!
リリィさんと、娘のベサンです☆
昨年も、その前の年も、家族でスキー旅行に来てくれていたのですが、
今回は、違います。
4カ月という長期の滞在で、陶芸家であるリリィさんはヤスさんと陶芸の研究を一緒にします。
中学生のベサンは地元の中学に編入し、日本語を学びます。
期間中はノラでちょこちょこと彼女たちを見かけることもあると思います、どうぞよろしくお願いします☆

今回のこの長期滞在にあたり、ビザの取得や学校の編入手続きに走り回った冬だったのですが、
中学編入については、教育委員会の担当の方が、とてもとても親身になって対応してくださって、
学校の校長先生教頭先生にも快く受け入れ体制を作っていただき、
またPTAの方々にも制服やジャージを提供していただくなどたくさんお世話になり、
親切な方々に恵まれたおかげで、想像していたよりもずっとスムーズに手続きが進みました。

大変だったのはビザの取得です…
今回、在留資格「文化活動」というのを取得しました。
これは、「外国人の方が,専門家の指導を受けて我が国特有の文化又は技芸を修得しようとする場合」に申請するものなのですが、
認可されるにはいろいろと審査がありまして、
簡単に言うと、受け入れ先である専門家(つまりヤスさん)が、スゴイ陶芸家であると国に認めてもらわなきゃいけないのですよ。

先祖代々、みたいな歴史もなく、また○○焼のような伝統を継いでいるわけでもなく、
大きな賞を獲ったこともないし、有名なわけでもない。
申請時は旭川にある入国管理局の窓口の時点で「認可はむずかしいと思います…」と言われました。「諦めた方がいいと思います」という意味に聞こえました。

しかしダメ元でも申請だけはしてみようと決意した私に、
管理局の方は親切にアドバイスをくださって、
私も何度も電話したり通ったりして、無事に提出書類ができて、受付を通過。

その後、今度は札幌の入国管理局から連絡があって、また数回やりとりがありました。
この担当の女性とはお電話と郵送でやりとりしただけですが、絶対美人です。わかります。すごく知的で親切で素敵オーラ満載な方でした♪
この時は「もしかしたらイケるかも?」と期待しました、落とすならこんなに親身になって手をかけてくれないだろうと思ったので…

そして届いた認定書、飛び上がるほど嬉しかったですね~!
正直、リリィさんたちがこのビザで来日できること、よりも、ヤスさんが認められたことが嬉しかったのです。
ではなぜ認めてもらえたか、それは蛍手の技術です。
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蛍手とは:素地を透彫(すかしぼり)にした後、透明釉をその小穴に充填して焼成する技法。光をとおして文様が浮きあがるため、蛍の光にたとえて蛍手をよばれる。

管理局との話は、ずっと蛍手のことについてでした。
大槻恭敬の蛍手の技術が、我が国特有の文化を外国人に継承するにふさわしいほど、高度で価値のあるものかどうか、が審査の核となったのだと思います。

他の作家さんが施している蛍手は、小さな丸であることがほとんどで、
その小さな丸をいくつも並べて何かの模様にしている作品は世の中にたくさんありますが、
ヤスさんのように、絵を描いてしまう作家はまずいないと思います。
線をひくことができる方もいるようですが、ただ線であるだけです。
かろうじて、小さな丸と線をミックスさせている作品もあるようですが、
ヤスさんのように自由自在に描いてしまう作品は、見たことがありません。
やろうと思えばできる人はいるのかもしれませんが、誰もやりません。
なぜなら、手間ばかりかかって成功率が低いからです。

蛍手は陶器に穴を開けてしまうわけですから、焼成の際にそこから亀裂が入ることが多くなります。ヤスさんも、最初はそればかりでした。
例えば、ひとつのカップに10個小さな穴を開けたとして、9個成功しても1個に亀裂が入ったら、もうその作品は失敗なわけです。リスクがありすぎます。
また、開けた穴を釉薬で埋めるわけですが、埋まらなければそこから液体が出てしまうし、埋めすぎると透けません。

成型する際の薄さ、彫る時の技術と特別な道具、釉薬の配合と量、焼成の温度、窯の中のどこに置くのかまで、
すべての条件が微妙なバランスで合致しないと、成功しないのです。
蛍手技法においては高い知識と経験を持っている陶芸家だということを公的に認めてもらえたことが、何より嬉しかったし、自信になりました。

今回の個展ではお目が高い人たちにより、高額にも関わらず真っ先に完売となりました、
麦の蛍手のタンブラー。
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ビールを入れると麦の色がビール色になるのです。ロマンでしょー

今後は、ブドウの絵を描いたワイングラス、お米の絵を描いた日本酒杯、などなど作っちゃうよー!と言ってます♪
国に認められた蛍手作品!ってシール貼りますか(笑)
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by yas-mid | 2017-03-28 23:33 | 野良窯 | Comments(6)